自己破産を選ぶ理由

年金基金の設計のベースになる金利は予定利率であるが、最近では5.5%という高い数字をクリアすることは極めて難しくなっており、信託銀行運用分ではこれを割り込んでいる。 生保も経営上この水準には次第に耐えられなくなり、94年には所管の厚生省と協議して4.5%へと引き下げた。
しかしこれでも生保の個人保険の予定利率3.75%(95年7月現在)に比べてなお高い水準にとどまっている。 こうした水準をめぐる綱引きは別にしても、運用利回り5.5%を見込んでスタートした基金が年2〜3%しか稼げない状況が続けば、その根本的な設計が揺らいでしまうおそれがある。
それどころか株価の下落などで含み損を抱えた基金では、それを表面に出して資産の入替えをすることもできずにっちもさっちも行かない状態に陥っているところもあるようだ。 95年初めの日米金融サービス協議合意では、年金資産について時価をベースとする評価を行うこと、および運用比率規制を撤廃するという方向性が示された。
現実に損の出ている年金基金を建て直すためには、掛け金や給付の見直しなど痛みを伴う処置が必要かもしれない。 従来生保や信託銀行に運用を任せきりにしてきた年金基金の運営は、今後は適宜コンサルタントの助言を受けながら、加入者の年齢構成などに応じて自己の責任で行われなければならない。

日本では、年金ALMはまだ端緒についたばかりである。 このように、広い意味で金融仲介機能のあるところには、ALMの発想は不可欠である。
これは公的金融仲介としての財政投融資にもあてはまり、財政当局も財投資金のALMシステム構築にとりかかっている。 壮大な規制金利体系は水も漏らさぬ精徴なものであったが、金利自由化はその枠組みを流し去った。

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